管理組合にとって最も大きな仕事の一つにマンションの大規模修繕工事があります。
大規模修繕工事(大規模改修工事)とは長期修繕計画に基づいて行われる「計画修繕」の中でも12年ごとに計画されることが多い、建物全体に行う修繕工事を大規模修繕といいます。
大規模修繕工事(大規模改修工事)の計画から実施時期までは10年以上の長い時間をかけて行います。マンション大規模修繕工事は毎月マンション管理組合が各住戸から徴収して積み立てている修繕積立金を原資に戸あたり100万円近い費用(建物の状態によりことなります)をかけて実施するものが大規模修繕です。
国土交通省は大規模修繕工事を以下のように定義しています。
大規模修繕とはマンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するために行う修繕工事や、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図るために行う改修工事のうち、工事内容が大規模、工事費が高額、工事期間が長期にわたるものをいう
前述のマンション大規模修繕工事の定義にもあるように、快適な住環境と資産価値を維持するために行うものが大規模修繕工事です。そして、マンションの修繕工事には修繕、改良、改修の3つの考え方が定義されています。
①修繕の定義
例えば、マンションの廊下の鉄部が錆びる、屋上の防水が耐用年数を過ぎると防水の効果が損なわれます。こうしたマンションの経年劣化は避けることができません。
修繕はこのような部品や設備の劣化に対して、修理や取り替えを行ってそれぞれの性能・機能で最小限の問題がでない程度までに当初の状態に戻すために行う工事です。
修繕を怠ると鉄部がサビにより爆裂する、屋上や外壁のひび割れから漏水が発生する、などマンションの維持に対する問題が起こります。
建物の現状を維持するための工事を「修繕」と言います。
②改良の定義
新築のマンションに採用さてているような建物の性能や機能にグレードアップして、マンション竣工当初の性能以上のものにすることと定義されます。
例えばエントランスをオートロックにしたり、宅配ボックスを設置するなどが改良にあたります。
こちらはマンションの資産価値の向上と生活の利便性が主たる目的です。
③改修の定義
前述した修繕と改良を同時に行うことを改修といいます。
例えば、「建物の防水や外壁の塗装工事だけでなく、住民の高齢化に伴いエントランスをバリアフリーにする」ような工事を改修と定義します。
マンションの設備は経年劣化をしていきますし、分譲時には最先端であった設備も時代と共に陳腐化してしまいます。
このように修繕と改良を組み合わせて大規模修繕を実施していくことが本来重要であると国土交通省は明記しています。
大規模修繕工事は劣化を直すだけの修繕ではなく、設備をグレードアップさせる改良を行う大規模改修が理想です。
しかし、多くのマンションでは分譲時に販売会社が販売しやすいように修繕積立金ガイドラインで算出されている修繕積立金の適正価格よりも少ない金額で毎月の修繕積立金が設定されています。また、本来計画の途中で修繕積立金の見直しを前提にしているものも少なくありません。しかし、修繕積立金の見直しの検討が無い、検討したが改定されていない、改定しても修繕積立金が足りない場合もあります。一般的な長期修繕計画でも修繕までは計画にされていますが、改良や改修は一般的には組み込まれていません。
そのために、いざ大規模修繕の実施時期になると修繕積立金が足りないという事態が発生します。
大規模修繕で資金不足にならないためにすべきことは2つです。
1つは「適正価格の修繕積立金をしっかりと積み立てていくこと」。もう1つは「大規模修繕の工事を任せきりにしないこと」です。
適正価格の修繕積立金をしっかりと積み立てるためにはまず長期修繕計画のチェックが必要です。分譲時に作成された長期修繕計画そのもののを確認する必要があります。次に、長期修繕計画通りに修繕積立金が徴収されているか、将来大規模修繕工事(改修工事)で不足が発生しないかを確認することが大事です。また管理費会計を見直し、管理費収入とともにその他の収入(駐車場収入)と支出のバランスをチェックし、余剰金を修繕積立金に繰り入れていくことが大事です。
支出(管理費会計)を抑えることができれば、貯金(修繕積立金)に振り替えることができ、修繕積立金が貯まります。
また工事を任せきりにしないことも大事です。管理会社・コンサルに任せきりにするのではなく、可能であれば修繕委員会を設立し、1つ1つのプロセスにしっかりと関わっていくことが大切です。
管理組合の努力で適正価格でより質の高い大規模修繕を実現することができるはずです。
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